2013年12月25日水曜日

ルクセンブルクはなぜ一人当たりGDP世界一なのか

イギリス留学に続いて、9月15日から28日までドイツでEUに関する研修に参加していました。9月15日から26日まではオッツェンハウゼンというドイツとフランスの国境沿いにある山奥にある研修施設で行われ、26日から28日まではベルリンで行われました。

他、欧州議会や欧州投資銀行などへのフィールドトリップとして、フランスのストラスブール、ルクセンブルク、ドイツのボンへ訪問しました。これら期間中の支出は全て奨学金によって賄って頂きました。

特に興味深かった思い出はルクセンブルクへの訪問です。ルクセンブルクの一人当たりGDPは107,426ドルで、アメリカ合衆国の49,965ドル、日本の46,720ドルと比べてその高さが際立ちます。国の産業が第3次産業化すれば一人当たりGDPが突出するのかと考えられますが、シンガポールですらルクセンブルクには遠く及びません。どうしてルクセンブルクのGDPは高いのか、楽しみにして訪問したのですが、EU独特の理由がありました。

ルクセンブルクの位置

ルクセンブルクは魅力的な労働市場であるために、ルクセンブルク国外からルクセンブルク国内に通勤する労働者が約16万人います。その「越境労働者」の内訳は、フランスから約8万人、ベルギーから約4万人、ドイツから約4万人だそうです。つまり、居住する国とは別の国に通勤する人がいるのです。

具体的に数字で挙げるならば、ユーロ換算でルクセンブルクの一人あたりGDP83,700ユーロ、人口は53万人です。これに「越境労働者」約16万人、その家族の人数を平均2.5人とすると約40万人がルクセンブルク国外に住んでいます。総GDPを割る人口の数に加えると一人当たりGDPは約48,100ユーロとなります。

もちろん、これでもアメリカ合衆国や日本より高い数字ですが、飛び抜けた数字ではなくなりました。ルクセンブルクの一人当たりGDPが抜きん出る裏側にはこうしたEU協力で生まれたカラクリがあったのです。