2013年5月29日水曜日

「日本、歴史紛争たびたび起こせば米支援失うことに」…米外交安保シンクタンクCSIS所長

ショッキングなタイトルですが、中央日報日本語版に掲載されているインタビューです。CSISはCenter for Strategic and International Studiesの略、保守系として有名で、所長のJohn Hamreも共和党出身の共和党寄りなシンクタンク。


なぜ中央日報がCSIS所長にインタビューしているのかと言えば、JoongAng Ilbo-CSIS Forum 2013という韓国のシンクタンクとCSISが共同で開催したシンポジウムが5月21日にソウルで開催されていたからです。

ソウル大学の教授に招待されて、日本人としては会場で恐らく2人だけの中の1人として、参加してきました。素晴らしい機会に招待していただいた教授に御礼申し上げます。


ソウルのGrand Hyattホテルにて


会場の規模は300人前後だったと思います

テレビカメラも多数

教授からの招待で、自分たちのクラス以外にも学生が多数参加してました

メイントピックは「Kim Jong-un's Gamble and the Crisis on the Korean Peninsula」ということで北朝鮮問題についてですが、日本に関する言及もされていたので、トップに挙げた記事と共に日本に関連しそうなところで印象に残ったところ、そのシンポジウムの空気感を少し書いておくことが、義務に近いんじゃないかと思います。

まず、開会の辞で、JoongAng IlboのChairman & CEOのHong Seok-Hyunさんの挨拶。
(原文)There have also been worrying changes occurring in neighboring Japan. Since Prime Minister Abe Shinzo, who believes in rebuilding a strong Japan, took office, Japan has been escalating tensions with its neighbors by rushing toward what many of us perceive as militarism. Recently, despite opposition from Korea and China, about one hundred sixty incumbent lawmakers collectively visited Yasukuni war shrine of worship. This is unfortunate. Disputes are increasing in the region at a time when cooperation between Korea and Japan is crucial in regard to North Korea's nuclear ambitions.
(訳)日本でも心配させる変化が起きています。強い日本を再構築したい安倍晋三首相が首相になって以来、日本は私たちの多くが軍国主義と受け止める方向に邁進し、近隣国と緊張を高めています。最近、韓国と中国の反対にも関わらず160人の現職国会議員が集団で靖国戦争神社を訪れたました。遺憾です。北朝鮮の核への野心に対して韓国と日本の協力が不可欠なときに地域での論争が激しさを増しているのです。 
日本人の多くは、安倍首相が軍国主義に向かってる、という韓国の主張を、「何言ってんだ」「大げさな」「そうやってまた日本を貶めて挑発的な態度を取る」と思うのですが、もちろんそういう意図がないことはないにしろ、本当に心配している面もあるんだなと思いました。

登壇者の中ではRichard Armitageがいました。ブッシュ政権時に知日派国務副長官としてパイプを持っていた人です。かなり質問を通じて攻撃されてました。「韓国国内ではあなたは日本びいきとして知られているが〜」「私はアメリカびいきです」などなど。

いま挙げたWikipediaでの記述で不確かですが、アーミテージは靖国参拝にも肯定的のよううです。その点ヘンリ所長とは違う感がありますが、ヘンリ所長もアーリントンとの比較に答えただけなので、靖国参拝自体の賛否はわからないですね。ただアメリカとしても、中韓と喧嘩してくれるな、というのは真意でしょう。

飯島秘書官の訪朝に関しても、ヘンリ所長は記事内で批判的なのに対し、アーミテージはシンポジウム内でけっこうかばってました。それがまた叩かれてましたが。当たり前ですが、日本に批判的なシンポジウムで、頭が痛くなりました。お互い、偏見、先入観、防衛本能から離れて、建設的な議論をしたいものです。

安倍首相が731の番号のついた搭乗機に乗ったことについて、自分もスイス人のクラスメートに「731に乗ったのは偶然?右翼へのアピールと中韓への挑発?」と聞かれて、「そんなん意識してないと思う、ただのミスじゃない?逆にそこは韓国の過剰反応だと思う」と言ったのですが、ヘンリ所長は731に乗ったことについて批判的ですね。気疲れしますが、無駄な批判を受けないように気をつけないといけないとは思います。

最後に、以前、日本が国際会議に出ていない・呼ばれないために「プレゼンスが無い」と言われるが、プレゼンスなんかどうでも良い。情報が入ってこないことが問題。という元IMF日本代表理事のお話を紹介しましたが、それをまざまざと感じたシンポジウムでした。

こうした会議を主催すれば、その場での議論を通じて、またトップに挙げた記事のように取材を通じて、米国の重鎮に直接働きかけられ、意見も引き出せます。必然的に韓国で取材を受ければ韓国寄りの発言をせざるを得ないわけで、間接的に韓国寄りになってもらう意識づけもできるかもしれません。

逆に、こうした会議で空気感を感じておかなければ、日本が、またあらゆる出来事が海外でどう受け止められているか、何が期待・懸念されているか、理解できませんし、会議に参加しなければそれを説明・修正することもできません。

ちなみに会議のスポンサーはサムソン。国益に一丸です。
ちなみに日本がCSISと共催するシンポジウムはこちら。CSISとの共催は日経新聞。日本経済センターの協賛です。今年も開かれるはず・無料なので、参加しなければ。

【お知らせ1】
ハーバード大学主催の学生会議、HPAIRの参加応募締切が5月31日に迫っています。
期間は8月22日から26日、場所はドバイ、参加費は登録時期によって異なりますがおよそ350ドル+航空券や現地滞在費です。詳細はこちら

【お知らせ2】
日中韓の学生ビジネスコンテスト、OVALの参加応募締切が6月9日に迫っています。
期間は8月11日から20日、場所は北京、参加費は9万円です。
自分も参加応募しました。詳細はこちら

2013年5月25日土曜日

TOEFL iBTを4ヶ月で65点から96点にした勉強

以前書いたことのあるものを加筆修正して掲載します。

得点推移は以下の通り。
2010年6月 63点
2010年7月 62点

2011年6月 65点 (R19L18S14W14)
7月 72点 (R25L19S13W15)
8月 81点 (R24L21S15W21)
9月 87点 (R25L22S18W22)
9月 92点 (R26L22S20W24)
10月1回目 96点 (R29L26S17W24)
10月2回目 87点 (R28L18S17W24)
11月1回目 83点 (R25L19S17W22)
11月2回目 94点 (R30L23S17W24)

10月後半から一時期落ちたのは、新学期が始まり時間を割けなくなったことが原因です。

推移をグラフにしてみました。

ネット等で情報収集して勉強法を試行錯誤しながら進めた結果で、目標点にも届いていないので、自分の勉強法をオススメできるとは思わないですが、試行錯誤の結果が参考になればと思います。倉本由香里さんのこちらの記事がTOEFL攻略法としてはよくできていると思います。

大きく「大戦略シリーズ」と「トフルゼミナールシリーズ」が参考書として有名かと思います。基本的には「大戦略シリーズ」をやるのが良いと思います。なぜなら「トフルゼミナールシリーズ」は難しすぎるからです。ただ、問題数が多いので、大戦略シリーズとオフィシャルガイドを十分噛み砕いたあとに演習量をカバーするのにはいいかもしれません。ただそれでもLongmanBarron'sをやった方がいいかもしれません。

0.英語を勉強するモチベーションを見つける
本末転倒気味ですが、英語ができないことを実感し、モチベーションにつなげるための短期留学というのもアリなのかもしれません。特に大学生にとっては就活・留学のみならず英語があることで機会がぐっと広がるように思います。例えば京論壇HPAIROVALYouthSummitなどなど。

1.目標点数を定める
グラフを見てもらえばわかると思いますが、やっぱりReading Sectionが取りやすいです。逆にSpeaking Sectionは日本人にとって難しい。それを踏まえてどの分野でどのくらいの点数をとって合計に載せるか、そのために何をどのくらいの比重でどう勉強するかを考えるのが当然大事になります。ただ、勉強し始めるとわかりますがListeningはSpeakingとWritingの点数にも影響するので重点的にやるべきだと思います。

2.勉強する
詳しくは上記の倉本さんの記事に書かれているので、特に自分から何が言える訳ではないですが補足すると、
【Reading】
一つのPassage20分で解くところを17分で解く練習をしました。17分に慣れれば本番も余裕が出て、焦りから失点することが少なくなります。
【Listening】
わからなかったところをきちんと確認することが大事だと思います。
【Speaking】
ボイスレコーダーなど借りて確認しましたが、やはり難しい。
【Writing】
添削してもらえる相手を見つけることが大事です。
Integrated Taskでは2つの対立する意見が出ますが、1-1'-2-2'-3-3'という書き方と1-2-3-1'-2'-3'という書き方の指導が参考書によってバラバラだったりします。自分は前者を採用してました。

余談ですが、以前の記事でTOEFL80点がトップ大学の入学要件、90点が卒業要件というのはハードルとしてそこまで無茶な話じゃないんじゃないか、というのは自分の経験を元にしてます。
蛇足ですが、TOEFLの勉強をした結果、TOEICも730から10月には880点になりました。北京留学中に受けたところ、L455R485で940でした。次はTOEFL100、早く取りたいです。

【追記】
帰国後、2013年6月に受けたTOEFLはR30L26S19W24の99, 8月に受けたTOEICはL495R455で950点でした。

2013年5月24日金曜日

東京大学公共政策大学院の特徴と受験について

先日、大学院説明会の告知をしましたが、毎年数人の後輩から大学院受験に関して質問を受けるので、ここに記して広くいろんな方にも参考にしていただければと思います。

もちろん2010年9月に受験し2011年4月に入学したので、現在との差はあるかもしれないので、もっと受験年度が近い知り合いを捕まえるなりしてほしいことは言うまでもありません。

公共政策大学院の特徴は?

大学院公式ホームページを読んでほしいのですが、簡単に言うと、

1.修論がない(書かなくてよい)

公共政策大学院は「専門職学位課程」です。
研究論文を書く大学院ではなく、MBAなど専門職学位の中で、ビジネスを学ぶMBAではなく政策を学ぶ、とイメージしてもらうのがわかりやすいだろうと思います。
大学と同じくレポート出したりテスト受けたりグループワークしたりゼミがあったりして単位をとって卒業します。ちなみに、「研究論文」という単位を申請して論文を書くこともできます。

2.幅広い授業科目

授業科目一覧はこちら。「政策」に関する裾野は幅広く、「法律・政治・経済」をミックスして分野横断的に学ぶので、法学部と経済学部を足したくらいの授業数があります。

3.大学院にしては人数が多め

公式情報によると一学年110人くらいです。
これは1で書いた専門職学位によるものだと思います。
必修科目では一部人数が多い授業もありますが、基本的には少人数で授業は行われます。

4.国内の大学院の中では相当国際化が進んでる

生徒の約1/3は海外出身で、出身国もアジアが多いですが様々です。生徒構成だけで見れば、ソウル大学国際関係大学院よりも国際化は進んでると言えると思います。

また、
アメリカ・コロンビア大学
シンガポール・シンガポール大学
フランス・パリ政治学院
アメリカ・カリフォルニア大学サンディエゴ校
ドイツ・ヘルティースクール
韓国・ソウル大学
中国・北京大学
と交換留学制度(一部ダブルディグリー)があり、今後はブラジル・オーストラリア・イギリスの大学とも交換留学ができるという話を聞いています。(まだ未確定情報)

授業の1/3くらいは英語の授業です。今後も増え続けるはず。

5.卒業生の進路は3、4割が官僚、その他は多種民間企業。博士進学は数人。

入試結果・修了者の進路がこちら。見てもらえればそのままです。
政策もやる大学院として例えば慶應SFC政策メディア研究科の修了生進路と比較するとわかりやすいかもしれません。

受験について教えてください。

提出するものは、TOEFLのスコアと学習計画書(だいたいA4一枚)です。
MPP/IPコースを除いて、出願は今年は8月、受験は9月です。

受験科目は1)法律、2)行政、3)政治、4)国際関係、5)経済学、6)数学・統計学から選択です。筆記試験通過者が面接試験。入試結果はこちらで公表されてますが、だいたい全体で倍率が3.5倍、面接試験での倍率が1.25〜1.5倍のようですね。

注意すべきは学習計画書という点で、研究計画書とは違います。自分は受験のときかなりそれで戸惑いました。基本的にはこれまでやってきたこと・未来に目指す像・そのために大学院で学びたいことはこういうことで、こういう風に学びます、が首尾一貫して書かれていれば良いと思います。
これらを参考にして、あとは大学の教授に指導を仰げばよいのではないかと思います。後述する勉強とは違い、学習計画書は力を入れてお世話になった教授数名に見せてコメントをいただきました。何度もご添削いただいた教授に、ここで改めて御礼申し上げます。

どうやって勉強しました?

…あんまり真似しない方がいいと思います…

1.TOEFL

6月と7月に受けて、63点で出しました…
説明会告知時に、英語をより重視するようになっているのではないかと書きましたが、たぶん今じゃ受からない点数だったんじゃないかなと…
入学後に頑張りました。TOEFL勉強法についてはこちら

2.経済学

自分は経済学受験だったので、経済学のことについて書きます。国際関係受験にしたい方は上記のブログの一つで言及されてます。

時期としては6月からゆるゆると、8月下旬〜9月15日の受験日まで詰め込みました。
使った本は
中谷のマクロ
大竹のマクロスタディガイド
奥野のミクロ
その演習本
でした。なぜかこれらというと、国1の定番本らしい、というのと、東大で使われてる、という理由だったような気がしますが、後述の東大の友達に勧められたのを買った次第です。奥野ミクロとその演習本、大竹のマクロスタディガイドは良かったです。

   

あと過去問が手に入るのでそれを。過去問の解答はないので、わからないところを解説してもらえる優秀で親切な人を探せるかどうかが大事だったりします。。

自分の場合、高校の同級生でぶっちぎり優秀だった東大も飛び級で卒業した友人が、たまたま当時の彼女も公共政策大学院を経済学で受験するということで、8月下旬から受験日までほぼ毎日夕方〜夜まで彼女も一緒に3人で勉強してくれたので、本当に助かりました。。。。。人生救われた思いで、本当に感謝してます。筆記試験の得点開示をしたら、6割なかったので、正真正銘彼のおかげで本当にギリギリ滑り込み最後の首の皮一枚切れかけでセーフ、で面接に進めたのだと思います。

3.面接

筆記試験の感触に絶望した自分は麻雀に明け暮れたので、特に対策をしてないのですが、学習計画書をちゃんと作る、ことがまず大事だったと思います。

聞かれた質問は、2年以上前でうろ覚えですが
「ゼミではどんなことやった?」
「日本経済再生策について研究したって書いてあるけど、どんな政策が良い?」
「卒論どんなことやってる?」
「〇〇っていう授業取りたいって書いてるけど、それってどんな授業?」
「ここ落ちたらどうする?」
などがありました。途中しどろもどろになりながらも、「ここ落ちたらどうする?」という質問に「慶應SFC受けますがSFCは幅広い分、政策分野の科目数も教授数も少ないし、恐らく東大の方が教授の質も良いと思うので東大でやりたいです!」と言えたのは好印象だったんじゃないかと思います。

ちなみに、いわゆるイメージ上の東大の教授らしく、面接中は冷たく愛想無く目を合わさず、という感じで心折られる方が多いようですが、たぶん人付き合いが苦手なだけか少し演技してる部分があると思うので、心折られず粘れば良いと思います、というのがちょっとしたアドバイス。

少し細かいQ&A(随時追記していきます)

社会人比率はどれくらいですか?

日本人では10人いないくらいじゃないでしょうか。海外からの学生は多くが社会人経験者で、中央銀行や官庁から来てる人もたくさんいます。

官庁試験用のクラスってあるんですか?

アメリカの大学のGMAT/GRE対策みたいなクラスはないです。
ただ、生徒の半数近くが官庁希望なので、一緒に勉強したり、情報なんかは回ってきやすい環境であることは確か。大学院側も官庁試験に対する配慮はかなりしてくれてると思います。

経済学研究科/法学政治学研究科などと迷ってるんですが。。。?

難しい問いです。簡単に対比するなら広く浅くか、狭く深く、という違いと言えそうな気もします。経済学研究科の方はよくわからないので、最終的には本人の将来像の問題かと…ちなみに入学金払うのは受かった直後ではなく入学前でした。なので受かってから悩んでもいいのかなと思います。

コース別の違いってなんですか?

コースは卒業単位要件の縛りです。法政策コースなら法学系の単位をたくさん取らないといけなかったり。このコースじゃないとこの授業を取れない、ということはありません。受験時の縛りとしては経済政策コースに行くなら経済学か数学・統計で受験しないといけないです。

実はコース変更がそんなに難しくないので、自分も留学する事情もありコース変更をしてます。経済政策コースの必修科目、とくにEconometricsを難しいと感じた人が、楽と言われる公共管理コースに逃げ出すことが多いのはあんまり大学院的には明かしてほしくない実情かもしれません。

2013年5月23日木曜日

日韓で違うセクハラの基準

趣向を変えて少し柔らかい話を。
歓迎ディナーのときに、「現地の言葉を学ぶのに一番良い方法はそこで彼氏・彼女作ること」というよくある話が出ました。そこで教授が中国人の友人(女)に

教授「ところで彼氏はいるの?」
「えっ…、はい、います、中国に」
教授「関係続けるの?留学中も?」
「はい!続けます!別れません!(少しヤケ気味に」

要約した文章では伝わりにくいと思いますが、傍から見てる身としては、それちょっといかんでしょ、と思いました。日本で同じことやったらちょっと問題になってもおかしくないゆえに、教授も学生の彼氏彼女の話までは踏み込まないことが多いんじゃないかと。

同じく、韓国語を学ぶクラスでも、「彼氏/彼女いますか?」の質問が授業の中でほぼ全員にされていて、これも日本ではないだろうなと。彼氏彼女について聞くのは、セクハラというよりは相手を深く知る上ですぐにする質問なんだなという感じがしました。


日本で言うと、数年前、安く飲めるということで日韓学生会議の最終日の飲み会に潜り込んで、参宮橋のオリンピックセンターの宿舎で日本人・韓国人で飲みました。仲の良い後輩たちと一緒に行って、飲んでる途中で女の後輩と肩を組んだところ、引かれて「それ、韓国だとアウト…」と言われたのが印象的です。曰く、ボディタッチには厳しいとのこと。もちろん教授が生徒にやったら問題でしょうが、別に大学生同士それくらいはセーフじゃないか、と思いました。

ソウルに来てからこの話をすると、韓国人て仲良くなればもっとボディタッチ激しいからそれくらいじゃ問題にならないはず、と言われることも多いのですが、もう年をとってどこまでがセクハラなのかを試して確かめてみる勇気はもうありません笑

2013年5月22日水曜日

教授の頭の痛くなる発言

また少し間が空いてしまいました。
私生活でのトラブルに加えて、ここ数週間、ある教授の発言に頭が痛かったからです。
名前は伏せますが、韓国では随一の「日本スペシャリスト」「知日派」です。


1.「韓国のナショナリズムは決して表に出てこないが、日本のナショナリズムは非常に挑発的」とのこと。それに対して意見を異にすることを伝えたところ、「打ち負かす自信あるよ、Hahaha」とおっしゃられました。

韓国人の友達には「あれは議論でbeatするって意味だし、冗談だから」とフォローされましたが、「韓国のナショナリズムは〜」というのは裏を返せば「従軍慰安婦なぞ無かった」「あの戦争は侵略ではなかった」レベルのトンデモ発言で、そんなことを冗談でも「I'm confident I can beat you」なんて教授が生徒に言うことに驚きを通り越して頭が痛くなるし、なんでこの教授から学び、話す意味は、という気分でした。


2.「日本は外交政策を変えなければならない」と言った後に、「Ugly Offensiveではなく、せめてCharm Offensiveにしてほしいね、Hahaha」とおっしゃられました。フランクなことが良い先生ではありますが、それをシンポジウムの壇上で話せる図太さには驚きました。


3.東アジアの対話について、「日本はいつもBig Brotherにすがって、全然アジアで話そうとしないんだよね、Interesting, Hahaha」というので、「日中韓での枠組みよりアメリカ入れた方が交渉・対話上有利になるんだから、Interestingっていうよりrational choiceでしょう」と言ったら、少し感情的になられた感じのご返答でした。


そんなわけで、こうしたチクチクとしたことが、もちろんここに書いていないことも含めて、韓国随一の知日派からポンポン出てくることに気分がなかなか上がらなかったのですが、切り替えて頑張ろうと思います。

2013年5月16日木曜日

【お知らせ】福沢諭吉記念文明塾が第10期説明会を開催します

今年1月に9期の募集説明会をブログで告知していますが、第10期の説明会が5/27, 5/30, 6/1, 6/3, 6/5の予定で開催されます、10期の募集締切は6/11です。

どうぞご参加ください。

【お知らせ】東京大学公共政策大学院が入試説明会を開催します

所属する東京大学公共政策大学院が5月30日に入試説明会を開催します。
http://www.pp.u-tokyo.ac.jp/news/2013/04/news20130426.htm
ぜひご参加ください。


東京大学公共政策大学院2014年度入学者選抜試験に関する説明会を開催します。
東京大学公共政策大学院は、政策実務家の養成を目標として2004年度に発足した専門職大学院です。特に国際的視野のもとで現代社会の直面する課題を発見し、課題の解決に必要となる政策と制度を構想する力をもち、またコミュニケーションと合意形成の能力にも秀でた、国家機関・地方自治体の公務員、国際組織やNGOの職員、シンクタンクに勤めるエコノミストや政策アナリストなど、時代の要請に応える政策実務家を育成することを目標としています。
本大学院で教育・訓練を受けた人が、法学・政治学・経済学・国際関係論を横断した幅広い知識を獲得するとともに、また実務で求められる必要なスキルも身につけることができるように、教育科目にも、また教育内容や方法にもさまざまな新しい発想や工夫が取りこまれています。大学の専門教育において法学・政治学・経済学・国際関係論などを学んだ人はもちろん、これから学ぼうとする人も、またいま大学を卒業しようとする人ばかりでなく、職業人としての実務経験を踏まえてさらに深く学ぼうとする人も、ぜひ御応募ください。
説明会では、東京大学公共政策大学院について、入学者選抜の基本的考え方、カリキュラムの概要等についての説明を行います。



この告知文を読むと、公共政策大学院ホームページ内にある大学院設置の趣旨に記載されている
「この公共政策大学院は、広く公共政策に携わる政策プロフェッショナルの養成を目指しています」
「こうした能力は、何も国や地方公共団体で働く公務員のみならず、民間企業や国際機関、言論界等でも求められています」
という文言とは異なり、「政策実務家を育成することを目標としています」と明言している点に、方向性が表れているような気がします。

大学院設置の趣旨が書かれた頃には、大学院創立まもなく、広く受験者を集めるために緩い記載になっていたのに対し、創立およそ10年が経って知名度も上がったので、より方向性を明確にしたものと考えます。現状、大学院が想定しているより民間就職が多いのかもしれません。


もう一つ明確な方向性が表れている点として、平成25年度、2013年度入試結果の公表から合格者のTOEFL iBT平均点を開示していることがあります。

2011年度入試で入学した自分の肌感覚としては、同期の入学時TOEFL平均点が85点もあったとは思えません。合格者の平均点が85点になっている点、それまでしていなかったTOEFL合格者平均点の開示を始めた点から、明確に英語能力の選考における比重が上がっていることが伺えます。

2013年5月5日日曜日

韓国の国会見学で「愛国教育」を見た

今日は韓国の国会議事堂見学に行ってきました。
韓国のマンハッタンと言われる、漢江の中州、ヨイド島にあります。
ソウル大学からはタクシーで20分ほど。観光スポットとしての紹介はこちら

国会議事堂遠景

国会議事堂本体では議場の見学のみでした。
議場風景

ちなみに、韓国は大統領選が5年に1度、国政選挙が4年に1度。日本のように解散はありません。一院制で定数は300名。日本と同じ小選挙区比例代表並立制で、小選挙区からが246名、比例からが54名です。

さて、本題。
国会議事堂見学の前に、ビジターセンターに行ったのですが、そこでの展示とシンポジウムには考えさせられました。

「愛国魂」ユンボンギルの展示

恐らく常設ではないですが、「愛国魂」というタイトルで展示がありました。

入り口。ぱっと見、坂本龍馬みたいですね。

名前はユンボンギル。Wikipediaではこちら

入り口を入ったロビー。

「Korean Bomb Thrower Wounds High Japanese Officials in Shanghai」という過去の新聞記事。

生涯が紹介されています。

1932年、彼が起こしたテロ事件を描いた画。

このユンボンギルという人のWikipediaによる解説はこちら
簡単に言えば、日本が韓国統治中の1932年に上海でテロ事件を起こした韓国人です。

明らかに彼はテロリストです。ただ、一緒に行った韓国人の友達曰く、「自由を勝ち取るための戦士」と「テロリスト」は見方による、とのこと。確かに新疆にしても、イスラム原理主義勢力にしてもそうですね。

見ての通り韓国では愛国者として英雄視されているらしく、過去には韓国の高麗大学でアメリカ人の教授が、ユンボンギルを「テロリスト」と発言したときにはメディアから猛バッシングがあったそうです。

もちろん、伊藤博文を暗殺した安重根が英雄視されていることは知っていましたが、国会のビジターセンターで堂々とテロリストの一生が「愛国者」として展示されていることに、日本人としては絶句。

こうして多くの小学生も見学にきていた場で、過去のテロリストを「愛国者」として賞賛する展示を行うのは、記憶し続けるべきものではあるのかもしれませんが、生産的なことにはつながらない気がします。一緒に行った東大の友人も「靖国の展示内容が、って文句つけられる比じゃない」と話していました。

ただ難しいのは、どういうことをした人であれば英雄視しても良いのか、という点です。
独立運動を起こし、それが武装蜂起につながり、体制側との戦いを越えて独立を勝ち取った、であれば英雄視されるでしょう。弾圧された結果は失敗に終わった、というのでも英雄視されると思います。

今回の場合、もちろんユンボンギルももし可能であれば独立のための活動をしようとしたのでしょう。どの程度「いきなり」テロ行為に走ったのか、という点が問題の一つになるのかと思いますが、ただ結果はテロに走ったわけで、何ら国会の場で礼賛するべきものではないと思います。

被害者、侵略された側だからといって、そこまでするか?というのが、日本の韓国に対する違和感の大きな面を占めていると思います。こうしたところは率直に韓国人に直接話して地道に変えていくことが必要でしょう。


独島を守る会

ビジターセンターの2階では、独島/竹島を守る会のセミナーが開かれていました。
セミナー会場入り口 

セミナーの様子

多くの聴衆

このセミナーを運営している団体は他にも、
「愛国心の強い高校生に対し、韓国が竹島を統治することの理論的根拠を教育する」
「このセミナーを受講した韓国人100万人が海外留学し、国際世論を動かす」
ことを目指しているそうです。自分の友達も過去に参加し、竹島に行ったそうです。

非常にしたたかに、実践的なステップをとっていると感じました。
繰り返しになりますが、これも国会のビジターセンターでの開催です。

韓国が実効支配して係争中であると認めず、日本が係争中であるとする竹島の構図は、日本が実効支配して係争中であると認めず、中国が係争中であるとする尖閣諸島の構図と似ていると言われます。

もちろん、竹島の方には韓国は建築物などがあり、尖閣諸島は鄧小平が「棚上げ理論」を言及した点で、竹島の方がより実効支配の度合いが強いという違いはありますが、日本は韓国のようにこうしたしたたかな戦略を取ってはいないことに危機感を覚えましたし、見習う点はあるように思います。もちろん、日本人からしてみれば、ここまでするのか、という気もしてしまうように思いますが、韓国の熱の高さに押された次第です。


【追記1】韓国人の友達曰く、ユンボンギルは安重根とは違い、市民(civilian)を殺さず、軍人を殺したので、テロリストではないそうです。だからと言って、テロリストではないとは言えない気がしますが…
【追記2】彼について国会で展示されてる理由は、彼の行為が独立運動の高まりを呼び起こしたからだそう。