2013年5月29日水曜日

「日本、歴史紛争たびたび起こせば米支援失うことに」…米外交安保シンクタンクCSIS所長

ショッキングなタイトルですが、中央日報日本語版に掲載されているインタビューです。CSISはCenter for Strategic and International Studiesの略、保守系として有名で、所長のJohn Hamreも共和党出身の共和党寄りなシンクタンク。


なぜ中央日報がCSIS所長にインタビューしているのかと言えば、JoongAng Ilbo-CSIS Forum 2013という韓国のシンクタンクとCSISが共同で開催したシンポジウムが5月21日にソウルで開催されていたからです。

ソウル大学の教授に招待されて、日本人としては会場で恐らく2人だけの中の1人として、参加してきました。素晴らしい機会に招待していただいた教授に御礼申し上げます。


ソウルのGrand Hyattホテルにて


会場の規模は300人前後だったと思います

テレビカメラも多数

教授からの招待で、自分たちのクラス以外にも学生が多数参加してました

メイントピックは「Kim Jong-un's Gamble and the Crisis on the Korean Peninsula」ということで北朝鮮問題についてですが、日本に関する言及もされていたので、トップに挙げた記事と共に日本に関連しそうなところで印象に残ったところ、そのシンポジウムの空気感を少し書いておくことが、義務に近いんじゃないかと思います。

まず、開会の辞で、JoongAng IlboのChairman & CEOのHong Seok-Hyunさんの挨拶。
(原文)There have also been worrying changes occurring in neighboring Japan. Since Prime Minister Abe Shinzo, who believes in rebuilding a strong Japan, took office, Japan has been escalating tensions with its neighbors by rushing toward what many of us perceive as militarism. Recently, despite opposition from Korea and China, about one hundred sixty incumbent lawmakers collectively visited Yasukuni war shrine of worship. This is unfortunate. Disputes are increasing in the region at a time when cooperation between Korea and Japan is crucial in regard to North Korea's nuclear ambitions.
(訳)日本でも心配させる変化が起きています。強い日本を再構築したい安倍晋三首相が首相になって以来、日本は私たちの多くが軍国主義と受け止める方向に邁進し、近隣国と緊張を高めています。最近、韓国と中国の反対にも関わらず160人の現職国会議員が集団で靖国戦争神社を訪れたました。遺憾です。北朝鮮の核への野心に対して韓国と日本の協力が不可欠なときに地域での論争が激しさを増しているのです。 
日本人の多くは、安倍首相が軍国主義に向かってる、という韓国の主張を、「何言ってんだ」「大げさな」「そうやってまた日本を貶めて挑発的な態度を取る」と思うのですが、もちろんそういう意図がないことはないにしろ、本当に心配している面もあるんだなと思いました。

登壇者の中ではRichard Armitageがいました。ブッシュ政権時に知日派国務副長官としてパイプを持っていた人です。かなり質問を通じて攻撃されてました。「韓国国内ではあなたは日本びいきとして知られているが〜」「私はアメリカびいきです」などなど。

いま挙げたWikipediaでの記述で不確かですが、アーミテージは靖国参拝にも肯定的のよううです。その点ヘンリ所長とは違う感がありますが、ヘンリ所長もアーリントンとの比較に答えただけなので、靖国参拝自体の賛否はわからないですね。ただアメリカとしても、中韓と喧嘩してくれるな、というのは真意でしょう。

飯島秘書官の訪朝に関しても、ヘンリ所長は記事内で批判的なのに対し、アーミテージはシンポジウム内でけっこうかばってました。それがまた叩かれてましたが。当たり前ですが、日本に批判的なシンポジウムで、頭が痛くなりました。お互い、偏見、先入観、防衛本能から離れて、建設的な議論をしたいものです。

安倍首相が731の番号のついた搭乗機に乗ったことについて、自分もスイス人のクラスメートに「731に乗ったのは偶然?右翼へのアピールと中韓への挑発?」と聞かれて、「そんなん意識してないと思う、ただのミスじゃない?逆にそこは韓国の過剰反応だと思う」と言ったのですが、ヘンリ所長は731に乗ったことについて批判的ですね。気疲れしますが、無駄な批判を受けないように気をつけないといけないとは思います。

最後に、以前、日本が国際会議に出ていない・呼ばれないために「プレゼンスが無い」と言われるが、プレゼンスなんかどうでも良い。情報が入ってこないことが問題。という元IMF日本代表理事のお話を紹介しましたが、それをまざまざと感じたシンポジウムでした。

こうした会議を主催すれば、その場での議論を通じて、またトップに挙げた記事のように取材を通じて、米国の重鎮に直接働きかけられ、意見も引き出せます。必然的に韓国で取材を受ければ韓国寄りの発言をせざるを得ないわけで、間接的に韓国寄りになってもらう意識づけもできるかもしれません。

逆に、こうした会議で空気感を感じておかなければ、日本が、またあらゆる出来事が海外でどう受け止められているか、何が期待・懸念されているか、理解できませんし、会議に参加しなければそれを説明・修正することもできません。

ちなみに会議のスポンサーはサムソン。国益に一丸です。
ちなみに日本がCSISと共催するシンポジウムはこちら。CSISとの共催は日経新聞。日本経済センターの協賛です。今年も開かれるはず・無料なので、参加しなければ。

【お知らせ1】
ハーバード大学主催の学生会議、HPAIRの参加応募締切が5月31日に迫っています。
期間は8月22日から26日、場所はドバイ、参加費は登録時期によって異なりますがおよそ350ドル+航空券や現地滞在費です。詳細はこちら

【お知らせ2】
日中韓の学生ビジネスコンテスト、OVALの参加応募締切が6月9日に迫っています。
期間は8月11日から20日、場所は北京、参加費は9万円です。
自分も参加応募しました。詳細はこちら

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